脳機能の原理を探る 第6章

秩序パラメーターの律動とヒステリシスについて。

指振り運動について考える。右指・左指それぞれについて、中心からの位相のずれをx1,x2とおく。振幅をrとし、位相のずれをΦとする。
x1=r1cos(wt-Φ1)
x2=r2cos(wt-Φ2)
Φ=Φ1-Φ2

またx1,x2はf(wt)=f(wt+2π)を満たすため、
x1=r1f(wt-Φ1)
x2=r2f(wt-Φ2)
とおける

秩序パラメーターΦについてdΦ/dt=-∂V/∂Φ ---- **1と表現できる。Vは指振り運動におけるポテンシャル関数である。

Vは左右対称であり、V(Φ+2π)=V(Φ)であることから、
V(Φ)=a1cosΦ+a2cos2Φ+a3cos3Φ+...
と表現できる。

ここで第一項のみを見る。ポテンシャル関数は図のようにΦ=0で極小となるため、V(Φ)=-acosΦ (a>0)

次に第二項までを考える。
V(Φ)=-acosΦ-bcos2Φ
これを*に代入し
dΦ/dt=-asinΦ-2bsin2Φ

V(Φ)についてb/aを1.0から0.0へと0.25ずつ変化させると以下の通りになる。(a=1.0とおいている)




また、
dΦ/dt=0
⇔ asinΦ+2bsin2Φ=0
⇔ sinΦ(a+4bcosΦ)=0
⇔ Φ=0, ±π または cosΦ=-a/4b
よって|a/4b|>1となるとき極大点が消失する
つまりa=1とおくと、b=0.25のとき相転移が起きる


ボールをポテンシャル曲面Vの上に置いて転がす事を考える。Φ=πを局所最適解としておくとb/a:1.0→0.0の際にはボールはπ→0へと相転移を起こすが、つぎにb/a:0.0→1.0と逆方向にパラメーターを動かしてもボールはもとへは戻らない。あるパラメーター値において系がとる値は、パラメーターのみによっては決定されず、その系が経てきた履歴が反映される。これが履歴効果・ヒステリシスである。実際の指振り運動でも同様の現象が観察される。

*1:ココが曖昧