Light sheet-excited spontaneous Raman imaging of a living fish by optical sectioning in a wide field Raman microscope

http://www.opticsinfobase.org/oe/abstract.cfm?uri=oe-20-15-16195

通常イメージングには蛍光法など標識による可視化が必要。しかし標識によりナイーブな分子の動きが失われること、脂質や糖などの低分子の標識が難しいこと、などの欠点がある。無染色・無標識で分子を見るための手法としてラマン分光法を利用したラマン顕微鏡が注目されている。ラマン分光法とは、散乱光に含まれる分子固有の振動状態を反映した波長成分の変化を波形(スペクトル)として解析することで、分子の定性分析、定量分析を行う手法。ラマン分光顕微鏡はラマン散乱のシグナルが微弱なため、測定に長時間を要する点が問題であった。
ラマン顕微鏡に「光シート型」と呼ばれる顕微鏡光学システムを組み合わせた分子イメージング技術を開発した。光シート型顕微鏡は、シート状に整形したレーザービームを試料に照射し照射面に対して垂直方向から撮影する方式で、シグナル光の取得効率が高いため褪色や光毒性が抑えられ、深部観察にも優れている。この原理を応用して、無標識で生体試料のイメージングをする光シート型ラマン顕微鏡を開発し、メダカ稚魚の虹色素胞の分子イメージングに成功した。
電子制御波長可変チタンサファイアレーザーというレーザー光源を用いて、メダカ稚魚を観察したところ、虹色素胞からシグナルを捉えた。ラマン分光法によるスペクトル解析の結果、グアニン分子のイメージであった。無標識分子イメージングはレチノイン酸や尿酸といった生体内での分布が重要な意味を持つ分子のイメージングに応用できる。今後はビーム整形をより精密に制御し、高倍率かつ鮮明に撮像できるように改良し、細胞レベルでの解析を行うことによって、組織の発生や細胞分化、形態形成にかかわる分子の機能やダイナミクスに迫る革新的な技術として期待できる。


生体で、無標識で、低分子も観察できる。観察できる分子の限界は?シグナルの強さは?解像度は?分子の動きを追えるか?観察できる範囲の広さは?視野の広さと解像度の関係。

光シート型ラマン顕微鏡の光路図

ラマンイメージは共に虹色素胞のグアニン分子を捉えている