Impaired feedback regulation of XBP1 as a genetic risk factor for bipolar disorder.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12949534
血液から培養した細胞を用いて、DNAマイクロアレイで不一致な一卵性双生児ペア(一方のみBP発症)の遺伝子発現を比較した。BPの連鎖部位として知られる22q12にあるXBP1遺伝子とその発現を誘導するGRP78(いずれもERストレス経路の遺伝子)が低下していた。GRP78はBP治療によって上昇する事が既にわかっていた。次にXBP1の機能について調べた。
異常タンパクの修復によって小胞体シャペロンが消費されるとATF6が活性化される。これにつづいてXBP1が翻訳されそれ自身のプロモーターに結合し転写を活性化させる(XBP1ループ)。また同時にXBP1は小胞体シャペロンを増やす事でタンパク質の修復を行う。バルプロ酸はATF6を増加させ、低下したERストレス反応を回復させていることが分かった。


変異型XBP1のプロモーターへの結合強度の変化はどの程度か。多少弱まる程度ではポジティブフィードバックループによってその減弱効果はマスクされるのでは?ループが回り続けることで、最終的に到達は同程度になるのでないか。その場合、ERストレスに対する反応速度が問題となるのか。また、ATF自体がシャペロンを誘導するのであれば、XBPループの存在意義とは何か。それがなければ十分なシャペロンが誘導できないのか?でもバルプロ酸投与で増加したATF6があれば十分なERストレス反応が行えているのではないか。
BPのERストレス仮説はどうやって症状発現までのプロセスを証明するのか。ERストレス反応異常がどのようにして神経細胞に、何をもたらすのか。その異常はあらゆる脳領域においてそれぞれどのよううな異常をもたらすのか。そのうちどのモジュールのどういった機能がBPを引き起こすのか。あるいはそういった過程を無視して中間表現系として同定するのも一つの手かもしれない。すなわちER反応とBPとのシステム的なつながりは無視して、XBP1異常由来の神経細胞あるいは神経モジュールの異常が広くBP患者にも見られるということを同定する方法である。このためには大規模ブレインバンクが必要か。BPはdynamicにその症状が変化するが、ERストレス仮説のようなstaticな(あるいは一定レベルの異常が継続するような)原因がどのようにしてdynamicな症状を生み出すのか、説明が足りない。