Inverse synaptic tagging of inactive synapses via dynamic interaction of Arc/Arg3.1 with CaMKIIβ.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22579289
革新的なConceptと極めて美しいStudyの積み重ねで完璧なストーリー。個体のデータは若干弱いが。

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PSDやDendriteに局在するArcはAMPARのエンドサイトーシスに関わることが分かっていたが、どのようにシナプスに対する選択性をもつのかについては不明であった。ArcはLTDやシナプスの恒常性に関与するとも、LTPやスパインの形態制御に関わるとも言われるが、統一的見解は得られていない。
1.Arcは不活性型bCaMKIIと選択的に結合する
ArcはおもにDendrite・PSDに局在。2-hybrid法によりArcと結合するタンパクを探索したところ、bCaMKIIが候補にあがった。Co-IPや組換えタンパク質を用いた実験によりArcとbCaMKIIが結合する事がわかった。しかしCaとCaMが存在した場合には結合は弱くなった。

2.Arcは不活性なシナプスに集積する
培養ニューロンにBDNFやbicucullineで活性化するとArcは一過性に発現する。このArcはニューロンの神経活動を遮断するとスパインに集積した。単一のシナプスからの神経伝達を阻害すると、そのスパインに特異的にArcがPSDに集積した。これらからArcはシナプスの活動履歴に応じて不活性なシナプスに集積する事がわかった。


3.Arcのシナプスへ集積量とAMPAR発現量は負の相関を示す
AMPARのサブユニットGluA1のシナプスPSDでの発現量がArcの集積量と負の相関をすることがわかった。

4.Arcのシナプスにおける局在はbCaMKIIとの相互作用により制御される
RNAiによってbCaMKIIをKDするとArcの集積がみられなかった。この現象を個体においても確認した。GFP-Arcトランスジェニックを用いて、暗所飼育したマウスに光をあたえ、Arcを両側の視覚野に発現誘導したのち、片側へ薬剤を注入することで一方の視覚野のみで神経活動を抑制した。左右の視覚野で比較したところ、コントロールでは刺激した方でArcのPSDへの集積は少なかったが、bCaMKIIノックアウトでは左右差がなかった。



5.Arcは可塑的なシナプスより非可塑的なシナプスに多く集積する
ニューロンに高頻度の刺激を与えると一部のスパインにおいて容積増大がみられる。この構造的な変化はシナプスの伝達効率の増加と正に相関する。ここでRFPにより構造の変化を、GFP-ArcによりArcの動態を観察した。GFP-Arcの濃度はスパインの容積の増加率と負の相関をしめした。