Oscillatory control of factors determining multipotency and fate in mouse neural progenitors.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24179156
http://imayoshi.web.fc2.com/Itaru_Imayoshi_Ph.D./Neural_Stem_Cells.html
神経幹細胞の自己複製と分化はbHLH型転写因子により制御されている。Hes1がAstrocyte、Ascl1はNeuron、Olig2はOligodendrocyteへの分化を制御する。しかしHes1が幹細胞の未分化性の維持およびAstrocyteへの分化という相反する機能をどのようにコードしているのかわかっていない。Ascl1/Olig2についても同様である。
そこでbHLH型転写因子の発現の動態を解析した。タンパク質レベルで単一細胞において発現の振動を観察することに成功した。bHLH型転写因子のリアルタイムイメージングを行ったところ、神経幹細胞においてHes1/Ascl1/Olig2がいずれも発現が振動していた。神経幹細胞を分化誘導したところ、いずれかの細胞種に分化する時はHes1/Ascl1/Olig2のうちどれか1つの発現のみ上昇し他は発現が消失した。Hes1/Ascl1/Olig2のいずれかを欠損した幹細胞では増殖が低下しており、bHLH型転写因子の発現振動が神経幹細胞の増殖は促進される事がわかった。

ここで光制御可能な転写因子を用いた系によって、Ascl1ノックアウト神経幹細胞においてAscl1の発現パターンを制御した。GAVPOは二量体化能を減弱した転写因子GAL4のDNA結合ドメイン、青色光の照射により構造の変化するLOVドメインをもつVVD、転写因子p65の転写活性化ドメイン、をタンデムに連結したタンパク質である。GAVPOの結合するシス配列としてGAL4の結合配列であるUASを5個つないだもの(5×UAS)にTATAボックスを連結し、その下流に発現させたい遺伝子を配置したものをGAVPOをコードする遺伝子とともに細胞に導入する。青色光を照射するとGAVPOはVVDを介して二量体化する。その結果GAL4のDNA結合ドメインが二量体化することによりDNA結合活性が上昇し5×UASに結合する。するとp65の転写活性化ドメインを介してTATAボックスに転写開始複合体が形成されその下流の遺伝子が転写される、というしくみである。外来性タンパクや化合物が必要なく遺伝子発現を制御できるのがポイント。

Ascl1ノックアウト神経幹細胞においてAscl1の発現を3時間周期で振動させると増殖した。一方持続的に発現させるとNeuronに分化した。6時間周期で振動させると増殖は促進されなかった。

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発現調整できる光操作システムの構築がポイント。発現操作はAscl1だけ、なぜ?光操作による発現量の変化は何で見ている。