自己鏡映像認知への温故知新 動物心理学研究 Vol. 62 (2012) No. 1 p. 111-124

https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip/62/1/62_62.1.9/_article/-char/ja/
自己鏡映像認知の存在証明に用いられる検証法には、自己指向性行動が出現するか否かと、マークテストにパスするかの2つがある。これまでに自己鏡映像認知が確認されたのは6種(ヒト、チンパンジー、オランウータン、ハンドウイルカ、アジアゾウカササギ)で、アオリイカにもその可能性が考えられている。これらに共通した特徴は、発達した脳を持ち、発達した社会性を持っていることである。これらの動物において多くの系統にまたがった単なる進化的相似が起きたという事ではなく、機能的収斂が起きたと理解するのがもっとも正確な捉え方であろう。これらの動物は頭化Cephalizationが顕著である動物群である。頭化とは「前後軸を伴う動物群が、運動性・摂食・感覚・全身制御の高度化に伴い、頭が形成されること」である。
近年、脳内の離れた層と層を結びつける働きのあるvon Economo neuronがヒト・チンパンジー・イルカ・ゾウに共通して認められた。自己鏡映像認知には神経系の統御の高度化(情報構造の高次化)が必須であるというのは疑いない。

認知と行動の一貫性が意識の源泉である(Consistency of cognition and behavior is the origin of consciousness)