ユーザーイリュージョン 第7章

意識が心的営みに占める割合は、我々が意識しているよりはるかに小さい。というのも、我々は意識していないものを意識することができないからだ」。アメリカの心理学者ジュリアン・ジェインズは、1976年に発表した画期的な著書「二分心の崩壊にたどる意識の起源」にこう書いている。 ... 彼は次のように続けている。「これは言うのは非常に簡単だが、十分に理解するのはなんと難しい事か。暗い部屋で、まったく光の当たっていない物を探して欲しいと、懐中電灯に頼むようなものだ。懐中電灯は、どの方向であろうと自分が向く方向には光があるので、どこにでも光があると結論づける。これと同じように、意識は心のどこにでも行き渡っているように思えてしまう。実際はそうではないのに、だ」