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1. 可塑性と不可逆性
80yr生きるneuronは徹底して可塑的である。敷居を跨ぐと戻れないシステムは、ニューロンに一方向性の変化をもたらしてしまう。老化現象を覗いて、若年期にそのような不可逆性は存在しないように思われる、一部の疾患を覗いて。
Cell Cycleは徹底して不可逆的である。複製プロセスを逆行することなどあり得ない。あらゆるステップにおいて多重のフィードバックループが仕掛けてあり、一旦閾値を超えると、決して現象は逆行しない。
であれば、一部の神経精神疾患に見られる不可逆性はニューロンの生理的なシステムの中からは見つからないだろう。成熟したニューロンには存在せず、しかし特別な環境下ではニューロンも持ちうる不可逆的なシステムがあるとしたら?
2. ECTの作用タイムコース
mECTは一般的に2-3time/wk程度の頻度で10times前後行う。繰り返し回数が少ないと臨床的な長期的効果を得られないが、一定回数以上繰り返すと長期的効果を得られる(ref)。いまだにECTによる精神疾患に対する治療的効果の生物学的なメカニズムはほとんど明らかになっていない。「繰り返すことで効果が蓄積し、閾値を超えると長期化するが閾値を超えないと長期化しない」ような生命現象は存在するのだろうか?
24hr interval刺激、3 or 10回刺激での繰り返し刺激を行うとし、単純な加算モデルで微分方程式を立て、simulationを行った。刺激効果の最大到達点に対して、interval期間の刺激効果の減衰が速いと蓄積効果が得られず、減衰が遅いと少ない繰り返し回数でも長期効果が得られることになってしまう。3 or 10回の間に安定的な閾値を設けることができ、かつ3回刺激では長期効果を得ないようなモデル式を組むことは不可能であった。
唯一上記の条件を満たすのが、「刺激の効果がピークアウトするまでの時間が、intervalよりも長い」場合であった。しかし神経組織の刺激反応時間としては、24hr overというのはあまりにも遅い。そのようなものが存在するのか、メタデータ解析を行った。
Microarrayデータからday1 vs day3で上昇している遺伝子群を拾ったところ、Cell Cycleと補体系出会った。
3. 正常体と異常体の間に存在する、異常に対する正常な応答
免疫系で言うならば、正常体が感染なし、異常体が敗血症、なら、免疫系の正常な応答がその間に存在する。神経システムにおいてはそのような異常に対する正常な応答がどれほど知られているだろうか?
記憶や学習の正常な作動が正常体なら、てんかんは異常体。現実には小さなrecurrent circuitによる過興奮やマイクロな虚血などが存在するはずである。弱いrecurrent circuitが自発的に強化され、異常な神経活動が検知される。「正常体に対して正常に応答」していれば、この意味のない神経活動を回路として強化するはずである。これがけいれんに発展する前に、これを「異常体とみなして正常に応答する」必要がある。この場合の正常な応答とはどのようなものか?過活動依存的にcircuit remodelingから細胞を脱落させることではないか?
例えばCdk1によるヒストンの予防的なリン酸化が、compactionを引き起こし、あらかじめ活動依存的なremodelingを防いでいるとか?
4. Ectopic signaling仮説
シグナルを移植することはできるだろうか?BCR-ABLはEctopic signalingであろう。活性化したシグナル系がゲノム不安定性をもたらし、CMLに至る。
ある細胞腫に存在しないシグナル系をほかから移植することができたらな、それはどのような異常をもたらすのか?
神経細胞に存在しないリン酸化シグナル系を強制発現させたとしたら?
5. ニューロンはがん化しない
いわゆる脳腫瘍は全てニューロン以外の細胞種由来である。上衣細胞、リンパ球、アストロサイト、オリゴデンドロサイト...。ニューロンはがん化しない。ニューロン以外の細胞ががん化するような条件下にニューロンがおかれた場合、ニューロンはがん化せずなんの異常も起きないのだろうか?がん化する代わりに環境のストレスに異常応答したとしたらニューロンはどうなるのか?